腰痛などが理由で「たまたま他部位の受診でレントゲンを撮ったら、医師から『側弯症』と言われた」
・・・実は、大人になってから自身の背骨の側弯を知り、戸惑われる方は少なくありません。
今回ご紹介する60代のクライアント様も、膝の病院受診をきっかけに側弯症であることが分かり、当スタジオへお越しいただきました。
このように成人後に側弯症の診断を受けた方がいらっしゃった場合、私がその方が産まれて成人していく中での背骨の変異の過程を全て把握する事はもちろんできません。
もしかすると思春期に特発性側弯症を発症するも気づかずに現在に至ったケースもありますし、成人後の生活習慣の中で生じた機能性側弯症のケースもあります。
どちらにせよ、悪化を防いであわよくば改善させる為には、身体はもちろん生活環境を含めた現状の把握が重要なポイントとなります。
初回評価で見えてくる身体の特徴
当スタジオの指導において最も重視しているのは、「身体評価」です。
例えば姿勢の評価において
・体幹の左右偏位
・肩の高さの左右差
・骨盤の傾き
・立位時の重心の偏り
このような点ももちろんチェックしていきます。
また必要に応じて関節可動域や前捻角、脚長差なども診ていきます。
今回は左右で約3cmの脚長差も確認されました。
ここを見落としてしまうと側弯症の背骨に対してどんなに素晴らしいアプローチをしたとしても良い結果には結びつきません。
脚の長さに差がある場合、立ったときに骨盤が傾き、体幹や背骨のバランスに大きな影響を与えます。
背骨のアライメントを改善しても土台が崩れている(脚長差がある)状態だと簡単に背骨のアライメントが元に戻ってしまう事は容易に想像できます。
恐らくですがこの方の場合、もともと足の長さに左右差がある中で思春期で特発性側弯症を発症していたのを気づかぬまま長年の生活の中で姿勢の悪化を招いていたのではないかと推測しました。
環境を整えることで姿勢は変化する
姿勢は筋力だけで保持するものではありません。
・身体の構造
・平衡感覚
・生活習慣・・・
など様々な因子が絡み合って成立しています。逆に考えるとその因子のバランスが崩れると悪影響が生じてきます。
そこで今回はトレーニングを始める前に、左右の脚長差を埋める事でまず身体の構造そのものを整える調整を行いました。
その結果トレーニングを実施する前の段階ですでに立位アライメントに変化が見られました。

【画像①】
左:通常の立位姿勢 右:環境調整後の立位姿勢
体幹の中心ライン(水色のライン)に対する頭の位置や骨盤の傾きに変化が見られることが確認できます。
これで自然とバランスを取りやすい土台を整えました。
2025年12月27日
側弯症に対するトレーニングを開始しました。
当スタジオでは
・ピラティスの運動アプローチ
・側弯症トレーニング
これらを組み合わせながら、体幹のコントロールと姿勢の再学習を行っています。
背骨そのものを無理に矯正するのではなく、
身体の使い方を整えることで姿勢バランスを改善していくアプローチです。

【画像②】
左 ➡ 右
2025年12月27日(初回)➡ 2026年1月29日
1回/週のトレーニング4回(約1ヶ月)の姿勢比較です。
姿勢評価では主に
・頭部から足部までの中心ライン
・肩の高さの左右差
・骨盤の傾き
・体幹の左右バランス
といったポイントを確認しています。
1ヶ月の変化として
・肩ラインの左右差の減少
・骨盤の傾きの改善
・体幹中心ラインの安定
など、立位アライメントの改善が見られました。
姿勢は一度のトレーニングで大きく変わるものではありませんが、身体の使い方を学習していくことで少しずつ変化していきます。
座位姿勢にも変化が

【画像③】
左 ➡ 右
2025年12月27日(初回)➡ 2026年1月29日
同じタイミングで撮影した座位姿勢の比較です。
立位だけでなく座ったときの
・体幹バランス
・背骨の左右差
・骨盤の安定
にも変化が見られました。
姿勢改善では、立っているときだけでなく
日常生活の姿勢全体を整えていくことが重要になります。
身体評価から環境調整、トレーニングへ ― 改善のプロセス
今回のケースでは
・身体評価
・立つ環境の調整
・側弯症トレーニング
をこれらを組み合わせることで、1ヶ月で姿勢の変化が確認できました。
姿勢には、その人それぞれの身体的要因があります。
その要因を評価し、身体と環境の両方からアプローチすることで、より効果的な姿勢改善につながることがあります。
側弯症は年齢に関係なく、身体の使い方を見直すことで変化が見られる場合もあります。
「診断を受けたから仕方ない」と諦める必要はありません。
大切なのは、画像からも分かる通り、今の自分の状態に対して「何が不足し、何が過剰なのか」という本質的な原因を見つけることです。
当スタジオでは、理学療法士としての知見に基づき、ご利用される方それぞれの特性を見極め、日常の「環境設定」からアプローチすることで、何歳からでもしなやかで整った身体づくりをサポートいたします。